2018年06月02日

くによし組『ケレン・ヘラー』を観てきました

どもこんばんは。毎度毎度の塩原(@donchan3ren)です。

水曜日に、はなまるうどんじゃなくてなんだっけ?やっくんと岡江久美子さん?が支配人を務める?ような…うーん思い出せない。ZOZOマリンスタジアム的なそんな感じだった気がする。に行ってきた。
まぁ平たく言えば、くによし組『ケレン・ヘラー』を観てきました、と。
最近観劇してもあんまりTwitterとかブログに感想書いてなかったけど、久しぶりに自分で自分の考察も深めたくて筆をとった次第で。

あ、ネタバレあるかもしれないので、一応。







と、記事を書いては消してしてて遂には千秋楽手前になってしもうた。
良い作品だったので、少しでも沢山の人に観て頂く手助けになればなぁなどという考えは、刻の前では無力で、もう明日の昼夜で終わりという非情な現実を叩きつけられてしまった。
とにかく、まぁ、まだ2ステあるので迷わず駆け込んで頂きたい。


「面白いと不謹慎の境目に切り込む!」
みたいな紹介記事や、そこを描くのが凄いよねーみたいな劇評を読んで「そうかしら?」と思った。
この作品、わざわざエントリで起こすぐらいだから相当に(敢えてこの言葉を使いますが)面白かったのですが、その面白さは先述のそこによるものなのかなぁ?と考えてみたくなって。

例えば、エンタメと不謹慎の関係性なんて別に今さらやられはじめたテーマでもなんでもなく、それこそ太古の昔からみんな自覚してるじゃないすか。
『シン・ゴジラ』では東日本大震災以後なにかと「不謹慎だ!」と騒ぐ世の不謹慎ポリス達を黙らせるほど圧倒的エンターテイメントを作り出していたし、最近では箱庭円舞曲の舞台『何しても不謹慎』でも不謹慎ってなんやねんを扱っていましたし。古代ローマのコロッセオなんて、人が死ぬのを観てみんなヒャッハーしてたんでしょ。なんだよそれ。。。

それに作家性の暴走と、大衆が求める刺激が加速していくのなんてのも特別目を引くような新しい議題でもないですし。
つい最近では牡丹茶房『Maria』でそんな劇作家の暴走を描いたり、テリー伊藤なんてあの平成の大量殺人犯麻原教祖をバラエティに引っ張り出してたんだからもうなんだよ今考えてもヤバ過ぎるだろ。

さらには「笑いというものが持っている一種の暴力性」なんてものだってそれこそ先週のTBSラジオ『問わず語りの松之丞』でも言ってたけど、僕らが小さい頃にダウンタウンが気付かせてくれた、小学生でも感じることで、今時分「実は笑いとは差別を含む表現なのです」なんてドヤ顔で言うやつなんて猿以外いないでしょう。いや、猿は言わないか。


もちろん、そういったことを扱ってるから面白いってのもあるんだけど、いや確実に僕の心を打ち抜いた何かがあるなと思ってもう少し掘ってみようと思いまして。


で考えてみたんですけど、先述のそういう【「アンタッチャブルな話題を扱ってまっせー」みたいなクソみたいな自意識にあぐらをかいた作品では決してない】ところがいいんですよね。
というのとさらに、やっぱりアフロ子という一人の女の子かつ芸人が持ってる切実な想いに打ち抜かれちゃったんですよね。

アガリスクの稽古場でもよくこういう話になるんですけど、要するに「ウケるのって最高にシャブよね」みたいな言説があって、これは人を笑わせることを生業にしてる人はかなり自覚あると思うんだけど、実際にこの作品の劇中でもいいアイディアが沸いてきて「コメディエンヌ・ハイ」みたいになるシーンがあって、それを観て「ギャハハ、まさにシャブだなこりゃー」と思って見てたら本当にシャブという設定が明かされてズコーっとなったり(笑)

「面白い」と「笑い」に対して「私はこう思って!ますけど!ね!」というのが描かれてるのがいいんですよね。

ちょっと方向性は違うかもしれないけど、この作品を観てる時に、モーニングの読み切りで話題になった『僕の変な彼女』を少し思い出したんですよね。
【死んだ元カノが、成仏しきれずに股間のおばけになって出てくる】という、今タイピングしてて自分でも何言ってんだってくらいわけ分からんあらすじなんですが、これに登場する元カノちゃんの切実さが、アフロ子の切実さに重なって見えてきて、もうブワっと。ブワっと涙が出てしまいまして。

アフロ子ちゃんの芸人の初期衝動になった「お母さんに笑ってもらうこと」と、大好きなあの人が「面白い」って言ってくれること。

私も一応コメディアンのはしくれとして生きているわけで、アフロ子ちゃんのこの切実な想いにはもう激しく同意しかないわけですよ。
要するに「他でもない、あなたに!あなたにこそ笑ってほしいから!私は!これからも芸を磨く所存です!」という想いが、僕の心を打ち抜いたんじゃあないかと。そういう結論にしておきます。



そういえばふとそう考えて思い出せば、学生時代、好きな子の前でこそふざけてしまう自分がいたなぁなんてことも少し思い出しました。



なにはともあれ、明日6月3日で終わってしまうので、迷っている暇はないぞ、諸君。
是非、後悔はさせないので劇場へ突撃して頂きたい。検討を祈る。





くによし組「ケレン・ヘラー」
ダウンロード.jpg

【作・演出】
國吉咲貴

【出演】
國吉咲貴、永井一信(以上、くによし組)
井田由依香、岩塚光希(喜劇のヒロイン)、宇乃うめの、大嵜逸生(劇団森)、小畑はづき、タナカエミ(Dr.MaDBOY)、津枝新平、中野智恵梨(アマヤドリ)、三澤さき

2018年5月30日(水)〜6月3日(日) / 東京・花まる学習会王子小劇場

詳細は公式サイトへ!いますぐアクセス!
https://kuniyoshigumi.jimdo.com/%E6%AC%A1%E5%9B%9E%E5%85%AC%E6%BC%94/
posted by しーおー at 23:20| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
このブログの記事は塩原個人が書いております。 掲載された記事に何か問題がありましたら、お手数ですがt_shiobara(あっと)agarisk.comまでご連絡ください。